WHO(世界保健機関)では「新型コロナウイルスに罹患した人にみられ、少なくとも2カ月以上持続し、また、他の疾患による症状として説明がつかないもの(通常はCOVID-19の発症から3カ月経った時点にもみられる。)」と、後遺症(post COVID-19 condition)について定義しています。
COVID-19に罹患後、後遺症に悩まされている人は多いと報告されています。米疾病管理予防センター(CDC)が更新した後遺症の報告書では、米国人の18〜64歳の5人に1人、そして65歳以上の4人に1人がCOVID-19後に何らかの後遺症を抱えていることが明らかになりました。また、後遺症を患うリスクが最も高かったのは、36歳から50歳までのグループで、後遺症患者の34.6%を占めています。男女比で見ると後遺症患者は女性が59.8%、男性が40.2%でした。さらに、後遺症患者の31%には持病がなかったそうです。
国立国際医療センターのアンケートでは、新型コロナウイルスへの感染後、女性の方が男性に比べて倦怠(けんたい)感や味覚・嗅覚(きゅうかく)障害、脱毛といった後遺症が出やすいという傾向わかっています。およそ4人に1人が、発症から半年経っても何らかの症状を抱えていることも明らかになっています。
<女性に多いコロナ後遺症>コロナ後遺症を症状別に男女比でみてみると、倦怠感が約2倍、味覚障害は約1・6倍、嗅覚障害は約1・9倍、脱毛は約3倍、女性の方が多いという結果が出ています。味覚障害が出た人の中で調べても、女性は男性に対して1カ月程度、症状が長引きやすかったそうです。また、若い人や、やせ形の人は味覚・嗅覚障害が出やすいこともわかっています。 参考文献:新型コロナウイルス 朝日新聞デジタル・医療サイト朝日新聞アピタル 17:00 2021年10月11日
<コロナ後遺症と鍼灸>コロナ後遺症の症状は倦怠感、頭痛、咳、呼吸困難、関節痛・筋肉痛、不眠、乾燥肌、脱毛、嗅覚・味覚障害など様々です。発症原因がわからないため西洋医学での対応は鎮痛薬や抗不安薬、睡眠薬の服用などに限定され、根本的な解決につながらないケースが多いのが現状です。 コロナ後遺症に対しては、無理をせず徐々に日常生活に戻すことが早期の回復につながると考えられています。そのため全身のバランスを調整するのを得意とする鍼やお灸が期待されているのです。鍼の物理的な刺激により、血流の変化や筋肉の緊張を和らげ、脳内でドーパミン分泌に関わり自律神経の調整や鎮痛効果を体にもたらします。鍼の刺激でNK細胞やT細胞、お灸で白血球が増加するため免疫力が向上します。以上のようなことから、鍼灸は様々なコロナ後遺症の症状に対応できると考えられています。 *NK細胞:白血球の一種で、リンパ球の約10〜30%を占める免疫細胞 です。 体内に異常がないか常にパトロールしていて、細菌やウイルスなどの病原菌やがん細胞を発見すると、極めて強い殺傷能力でいち早く攻撃を始めます 。*T細胞:血液中を流れている白血球のうち、リンパ球と呼ばれる細胞の一種です。 わ たしたちのからだを異物から守る機構(免疫応答)の司令塔ともいうべき大切 な細胞集団で、胸腺(thymus)でつくられるため、頭文字を取って T 細胞と名 付けられました。*参考文献:鍼灸と免疫系 | 免疫・微生物学 (meiji-u.ac.jp)<コロナ後遺症と運動>後遺症と生活習慣との関連性については2022年12月にも「運動量を増やすことが、感染時の重症化・入院リスクと死亡リスクを低減させることにつながる可能性がある」との研究結果が米医学誌アメリカン・ジャーナル・オブ・プリベンティブ・メディシンに発表されています。また、ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・スポーツ・メディシンに昨年8月に掲載された論文でも「定期的に運動している人はそうでない人に比べ、感染するリスクが11%、重症化するリスクが44%低くなっていた」とする同様の結果が示されています。
🌷当院でのコロナ後遺症への治療まずは来院された患者様の主となる症状の治療と並行して自律神経のバランスを調整・免疫系を活発し、その方の自然治癒力を高めていきくよう全身への治療を行っていきます。また、お灸でのセルフケアにてコロナ後遺症の症状の改善を示唆した報告も出ています。当院では、そのデータをもとにしたツボへのセルフ灸の指導を行い、早く社会復帰できるようお手伝いしていきます。